CIRJE Conferences 2010

Trio 2010 コンファレンス (NBER-TCER-CEPR/CARF, CIRJE)

  • 主催:
    Center for Economic Policy Research
    National Bureau of Economic Research
    東京経済研究センター (TCER)
    東京大学大学院経済学研究科
  • オーガナイザー:福田慎一・星岳雄・Eric Leeper
  • 2010年12月16-17日
  • 東京大学経済学研究科学術研究棟(小島ホール)2階小島コンファレンスルーム
  • プログラム

TCER-NBER-CEPR共催「TRIOコンファレンス」が、2010年12月16日(木)と17日(金)の両日、東京大学小島ホールで開催された。東大では、日本経済国際共同研究センター(CIRJE)が金融教育研究センター(CARF)のサポートを受けて、本コンファレンスのホストとなった。本年度のテーマは「財政政策と危機」で、財政赤字が世界経済および日本経済にもたらす諸問題を多角的に議論した。東大からは、伊藤隆敏、福田慎一、岩本康志らが報告者ないし討論者として参加した。また、海外からの参加者には、Eric M. Leeper (Indiana University)、Michael Devereux (University of British Columbia)、David Cook (Hong Kong University of Science and Technology)、Bruce Preston (Columbia University)、星岳雄(University of California, San Diego)らいずれもこの分野でのトップクラスの研究者が含まれ、大変意義深い議論が展開された。 近年、欧州ではギリシャの財政危機が発端となって財政赤字が深刻な他の欧州諸国で国債利回りのリスクプレミアムを高めただけでなく、欧州統一通貨であるユーロの信頼も揺るがす事態へと発展している。日本も、政府債務残高を他国と比較した場合、財政危機が顕在化した欧州諸国よりも数字上では事態は深刻となっている。このため、「財政危機」をいかに回避するかは日米欧いずれの地域でもタイムリーなトピックで、多角的な観点から活発な議論が展開され、大変有益であった。

The seventh joint conference of Seoul National University and University of Tokyo,
Issues on Economic Development and Industrial Organization

  • オーガナイザー:
    ソウル大学経済研究所
    日本経済国際共同研究センター
  • 2010年10月29日
  • ソウル大学(Seoul National University) 経済学部セミナールーム 16-655
  • プログラム

CIRJEは、ソウル国立大学の経済研究所(Institute of Economic Research)と毎年、経済政策に関するコンファレンスを開催しており、本年が7回目となる。この交流会議では、これまでもミクロ計量分析、経済発展、都市経済など幅広いテーマで国際会議を開催してきた。本年は、経済発展と産業組織の諸問題(Issues on Economic Development and Industrial Organization)をテーマに、グローバルな経済危機下において、日本、韓国、および関連諸国における適切な制度設計やポリシーのあり方を中心に議論を行った。東大からは、岡崎哲二、福田慎一、澤田康幸、松村敏弘、加納隆の5名が、報告者および討論者として参加した。ソウル国立大学からは、Chul-In Lee, Bonggeun Kim, Byung-Yeon Kim, Sung-Jin Cho, Youngsub Chunの各氏が報告・討論を行った。世界経済が抱える経済問題を、短期的な観点ではなく、中長期的な観点から議論されるなど、活発な討論が展開され、貴重な学術交流が実現したといえる。今後も、CIRJEとソウル国立大学の経済研究所は、さらなる連携を深めていくことが会議の終わりに確認された。

2010 three country conference The Global Financial Crisis and Asian Financial Markets

  • 主催:東京大学日本経済国際共同研究センター(CIRJE)、東京大学金融教育研究センター(CARF)
  • 共催:ソウル国立大学Graduate School of Businessおよび北京大学Guanghua School of Management
  • 2010年8月20日
  • 東京大学経済学研究科学術研究棟(小島ホール)2階小島コンファレンスルーム
  • プログラム

日本経済とアジア経済との有機的連携の重要性が増すなか、東京大学日本経済国際共同研究センターでも東アジアの有力大学との研究ネットワークの構築に力を入れている。東京大学・北京大学・ソウル国立大学の3大学を核とした日中韓3国コンファレンスもその一つで、北京大学・ソウル国立大学のビジネススクールの研究者と、東アジア地域が抱える金融の諸問題を取り扱う国際会議を定期的に開催している。
2010年度の日中韓3国コンファレンス(The 2010 three country conference)は、「世界金融危機とアジア市場(The Global Financial Crisis and Asian Financial Markets)」をテーマに2010年8月20日(金)、東京大学小島ホールで開催された。会議には、東京大学および日本国内の研究機関からの多数の参加者に加えて、ソウル大学からSangkee Min教授、Yeongseop Rhee教授、Sung Wook Joh教授の3名が、また北京大学からはXU Xinzhong教授とLongkai Zhao教授の2名が参加し、最近の金融危機がアジアの金融市場に与えた影響をさまざまな角度から活発に議論を交わした(プログラムは、下記参照)。
会議ではまず、東京大学金融教育研究センターを代表して植田和男教授が挨拶を行い、過去のバブルの経験を踏まえながら最近のアジアの金融市場に関して問題提起を行った。この問題提起をベースに、各セッションは世界的金融危機の影響を多角的に議論した。具体的には、第1セッションでLongkai Zhao教授 (北京大学)の報告に基づき国際化した企業のパフォーマンスの観点から、第2セッションでYeongseop Rhee 教授(ソウル国立大学)およびSung Wook Joh 教授(ソウル国立大学) の報告に基いて政治的なインパクトや銀行救済の問題を中心に、第3セッションで福田慎一教授(東京大学CIRJE) の報告に基づき短期金融市場の観点から、それぞれ活発な議論が展開された。
詳細なミクロ・データや高頻度のマクロ・データを用いて最近の金融危機の影響を分析した意欲的な研究結果をもとに、様々な角度から金融危機がアジアの金融市場に与えた影響が議論され大変有益であった。会議の終わりに、今後も東アジア諸国が直面する重要な政策的課題を経済学の観点から活発に議論する場として3大学を核とした研究ネットワークを深め、来年度以降も日中韓3国コンファレンスを引き続き開催していくことが確認され、会議は成功裏のうちに閉幕した。

2010 APEA Conference

  • オーガナイザー:
    Asia-Pacific Economic Association (APEA)
  • 2010年7月8-9日
  • Hong Kong Baptist University, Hong Kong

東京大学大学院経済学研究科附属・日本経済国際共同研究センター(CIRJE)では、毎年、Asia Pasific Economic Association(APEA)と協力して、定例コンファレンス を開催している。本コンファレンス・シリーズの目的は、環太平洋諸国の研究者とともに、東アジア経済が直面する諸問題を理論的・実証的に分析し、東アジアにおける応用経済学の研究レベルを底上げしていくことにある。本年度のコンファレンスは、2010年7月8-9日に香港バプティスト大学で行われたAPEAコンファレンスの特別セッションとして慶応義塾大学の大垣昌男教授による招待講演"Time Discounting and Intergenerational Altruism"をCIRJEが主催した。
講演の内容は、親の子供に対する考え方の日米比較に関する研究結果を手際良くまとめたもので、大垣教授による行動経済学の分野における研究成果の一部である。行動経済学に関する研究は、欧米では近年盛んになっているが、東アジアの研究者の間ではまだ未成熟な研究分野である。新しい研究分野の報告に対して大変有益な講演会であったという感想が、聴衆からは多く寄せられた。フロアーから多数の質問もなされ、講演会は成功裏のうちに終了した。