ポリティカルエコノミー研究会(PoETS)

活動報告

 

 

経済をいかに捉えるかにあたって、経済史が歴史的現実を扱うとすれば、経済学 史は歴史的現実に影響を与えた限りでの経済の諸理念を扱う。おおよそ理念は歴 史に働きかけるのであり、歴史と理念は手を携えて歩む。

そうであるならば、経済史と経済学史の間にも対話が必要なことになる。政治史 と政治思想史との間にも同様の対話が必要となろう。歴史なき理念は空虚であ り、理念なき歴史もまた空虚だからである。    

かつて西洋経済史の祖William Cunninghamが指摘したとおり、経済史とは限定された問いを扱うものではなく、 経済的事象をつうじて人間社会のあらゆる側面を俯瞰・分析するものである。ま た、かつて、我が国では、小林昇と大塚久雄の間に研究上の対話があり、それは 両者の研究に資するものであった。ただ、近年では、研究の細分化の進展ととも に、経済史と経済学史の間にも、また隣接諸学の間にも間隙が広がっている。

再び、歴史に理念を取り戻し、理念に歴史を取り戻すためのささやかな試みとし て、経済史・経済学史・政治史・政治思想史の研究者を参集して、研究会をここ に組織したいとわれわれは考えている。なお、近年の研究の国際化の進展に即す る形で、国際発表・論文投稿などの足場になればともわれわれは考えている。

設立趣旨というものは、当初の設計図でしかない。何かが持続し、発展していく につれて「意図せざる帰結」をもたらすのは歴史研究者だれもが知るところであ ろう。この設立趣旨を「足かせ」ではなく「足場」にして豊かな議論が生まれる ことを願ってやまない。

 

本年度の予定

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