CIRJE Conferences 2018

Industrial Organization Conference at the University of Tokyo

  • オーガナイザー: 大橋弘(東京大学)
    若森直樹(東京大学)
  • 2019年3月21日
  • 東京大学大学院経済学研究科学術交流棟(小島ホール)・小島コンファレンスルーム
  • プログラム

本カンファレンスでは国内外から6名の発表者を迎え、産業組織論分野における最新の研究を発表して頂きました。午前中のセッションでは、大西健博士(Federal Reserve Board)とMario Samano准教授(HEC Montreal)には、それぞれ日本とカナダの電力市場の合併についての論文を報告して頂き、さらにAniko Oery助教授(Yale University)にはクラウドファンディングについての理論研究を発表して頂きました。午後のセッションでは、林田光平氏(東京大学大学院農学生命科学研究科)に日本の牛乳製造業者と小売店の交渉モデルを用いた政策的示唆に富む論文を、室岡健志准教授(大阪大学大学院公共政策研究科)には「経験財の販売でしばしば見かける無料という販売方法を説明する理論論文を、Kosuke Uetake准教授(Yale University)にはメキシコの銀行のデータを用いたインセンティブの設計についての実証論文を発表して頂き、様々な視点から活発な議論を行うことができました。また、本カンファレンスではLightning Talk Sessionを設け、発表者ではない参加者も各自3-7分程度自己紹介をして頂き、より研究者間の研究交流を促すことができ、会議は成功裏に終了しました。

The 14th Joint conference of Seoul National University and The University of Tokyo
Current Topics of Macroeconomics

  • オーガナイザー:
    Center for Distributive Justice, The Institute of Economic Research, Seoul National University
    The Center for International Research on the Japanese Economy (CIRJE), The University of Tokyo
  • 2018年12月7日
  • 東京大学大学院経済学研究科学術交流棟(小島ホール)・小島コンファレンスルーム
  • プログラム

CIRJEは、ソウル国立大学の経済研究所(Institute of Economic Research)と毎年、経済政策に関するコンファレンスを開催しており、本年が14回目となります。この交流会議では、これまでもマクロ経済、ミクロ計量分析、経済発展、金融、国際経済、都市経済など幅広いテーマで国際会議を開催してきました。本年は、マクロ経済学の諸問題(Current Topics of Macroeconomics)をテーマに、不確実性が高まる世界経済において適切な制度設計やポリシーのあり方を中心に議論を行いました。 東京大学からは、楡井誠、植田健一、青木浩介、渡辺努が報告者および討論者として、また福田慎一、宮尾龍蔵、北尾早霧が座長として参加しました。また、ソウル国立大学からは、Young Sik Kim、Jay H. Hong、Soyoung Kim、Woong Yong Parkの4名が報告・討論を行いました。世界経済が抱える構造的な問題を、短期的な観点ではなく、中長期的な観点から議論することは非常に重要な政策課題です。本会議では、中長期的な観点から、マクロい経済の政策課題に関して活発な討論が展開され、貴重な学術交流が実現したといえます。今後も、CIRJEとソウル国立大学の経済研究所は、さらなる連携を深めていくことが確認され、会議は成功裏に終了しました。

27th NBER-TCER-CEPR Conference

  • オーガナイザー:
    福田慎一(東京大学)
    星岳雄(スタンフォード大学、全米経済研究所)
    木村福成(慶応大学)
  • 2018年7月27日
  • フクラシア東京ステーション
  • プログラム

日本経済国際共同研究センター(CIRJE)は、東京大学金融教育研究センター(CARF)、東京経済研究センター(TCER)、および日本政策投資銀行のサポートを受けて,2018年7月22日(金)にフクラシア東京ステーション会議室Gで、全米経済研究所(NBER)と欧州経済政策研究センター(CEPR)と共同で行う年次国際学術会議“27th NBER-TCER-CEPR conference (TRIO conference)”を開催した。今回のテーマは、「グローバル化と保護主義が経済活動に与える影響」である。今日、世界経済ではグローバル化が大きく進展すると同時に、その経済活動に与える影響に関して光と影が指摘されるようになっている。とりわけ、米国のトランプ政権の経済政策に象徴されるように、グローバル化した世界経済の中で自国の利益を優先する保護主義的な動きが世界各国でさまざまな形で顕在化しつつある。経済学では、伝統的に自由な取引が経済効率を高めるという観点から、国際資本移動の自由化や自由貿易を支持する研究が主流を占めてきた。しかし、グローバル化は、しばしば国内経済の所得格差を拡大させる一因になるなど、政治的に複雑な問題を引き起こしてきた。このため、日米欧の経済学者がそれぞれの視点から、グローバル化が国際金融市場や国際貿易のあり方に与える影響およびそれに関連した諸問題を議論することは大変意義深いと考えられる。コンファレンスでは,国内外から参加した10名のスピーカーが関連テーマの研究報告を行い、指定討論者やオーディエンスとの間で活発な討論が交わされた。コンファレンスには、トップクラスの研究者に加えて、若手研究者や実務家にも参加してもらい、学術的・実務的観点から最近の国際経済のホットイシューを理論的・実証的に議論が深められた。なお、報告論文は、レフェリーによる審査を経て、国際学術誌Journal of the Japanese and International Economies (JJIE)に刊行予定である。

Special TWID on Evidence-based Policy Making

  • オーガナイザー:
    澤田康幸(大学院経済学研究科)
    鈴木 綾(大学院新領域創成科学研究科国際協力学専攻)
    高崎善人(大学院経済学研究科・公共政策大学院)
    古澤泰治(大学院経済学研究科)
    植田健一(大学院経済学研究科・公共政策大学院)
  • 2018年6月21日
  • 東京大学大学院経済学研究科学術交流棟(小島ホール) ・小島コンファレンスルーム
  • プログラム

過日、Tokyo Workshop on International and Development Economics (TWID)は、独立行政法人国際協力機構(JICA)と東京大学政策研究ビジョンセンター(PARI)の支援を受け、スタンフォード大学のPascaline Dupas教授を招き、発展途上国における教育と保健医療の実証研究を中心としたSpecial TWID on Evidence-based Policy Makingを開催した。
まず日本の研究者より、①ウガンダのパネルデータを用いて、新たな保健施設の建設が妊婦の出産にまつわる行動(産前検診、病院での出産等)に与える影響を検証した論文、②予防接種を受けない理由の一つと言われている「心理的なコスト」の因果関係をナイジェリアで無作為化比較試験(RCT)を実施して分析した論文、③公文式の教授法をバングラデシュの小学校に導入し、その効果をRCTにより推定した論文の発表があった。
最後にDupas教授より、中等教育の無償化が生徒に与えるインパクトをRCTを用いて分析した研究の基調講演があった。2008年から現在まで対象者を定期的に追跡調査し、卒後の労働市場におけるリターンまで分析したものである。本研究は近年ガーナで実際に中等教育の無償化政策が導入されることになった過程でエビデンスとしても取り上げられており、研究が政策に貢献した好例であった。

Workshop on Advances in Econometrics 2018

  • オーガナイザー:
    下津克己(東京大学)
    市村英彦 (東京大学)
  • 2018年6月17-18日
  • KKR道後ゆづき
  • プログラム
  • 2

本コンファレンスでは、日本・海外の大学に所属し第一線で活躍している11人の計量経済学者が、最先端の研究成果を報告した。多くの日本人計量経済学者が海外で活躍しているが、海外の日本人計量経済学者が互いに、そして海外の日本人計量経済学者と日本の計量経済学者が交流し、議論を深める機会は限られている。本コンファレンスは、多くの海外ならびに日本の計量経済学者が一同に会する機会となり、部分識別、漸近理論、ジャックナイフ法、treatment effect、不連続回帰、モデル選択などの多岐にわたる研究成果が報告され、活発な討論や情報交換がなされた。 参加者の所属は、以下の通りである:London School of Economics, University of Aarhus, University College of London, Monash University, Massachusetts Institute of Technology, University of British Columbia, 早稲田大学、神戸大学、筑波大学、東京大学

Global History and Hybrid Political Economy in Early Modern Eurasia, c.1550-1850

  • オーガナイザー: 山本浩司 (東京大学)
  • 2018年4月21-22日
  • 東洋文化研究所
  • プログラム

国際シンポジウムThe Global History and Hybrid Political Economy in Early Modern Eurasia, c.1550-1850が2018年4月21日、22日に東洋文化研究所にて開催された。本シンポジウムは、ポリティカルエコノミー研究会(CIRJE)および 東文研のGlobal History Collaborative (GHC)と、ケント大学の研究機関であるPolitical Economies of International Commerce (PEIC)の共同によって開催されており、本シンポジウムに当たってPEICからは7名の研究者が来日した。プログラムについては以下のリンクのとおりである。 初日である21日は、シンポジウムのオーガナイザーである山本浩司氏(東京大学経済学研究科講師)から当シンポジウムの狙いについて説明がなされたのち、ケント側から4名の研究者が、日本側から3名の研究者が3つのセッションに分かれて、それぞれの研究成果を披露した。彼らのトピックのいくつかを示すと、江戸時代の経済システム、17世紀イングランドのコーポレーションの活動と機能、近世ブリテンにおける女性の商業ネットワークと多岐にわたっていることがわかり、それらは国際商業とグローバルヒストリーを広範囲にわたってカバーするものであった。 二日目の22日は、初日と同様の進行で、3つのセッションが開催され、6名の研究者が報告を行った。また、報告に先立って山本氏からシンポジウムの目的について再度説明があり、このシンポジウムを今後の研究にどう生かしていくかについて、参加者同士で確認を行った。二日目ということで、参加者はシンポジウムの雰囲気にも慣れ、報告者が提示する多彩なテーマについて、活発な議論を展開していった。 参加者の専門や関心が多様であったことは、シンポジウムの成功に大いに貢献した。例えば、イングランドの経済システムについての研究に対し、アジア史の観点からの質問がなされるということがあったが、このようなコメントは予期せぬしかし創造的な議論を引き起こした。このような質疑応答が起こりえるということ自体が、グローバルヒストリーの重要性と人々の関心を表しているといえよう。また、それぞれのセッションにはケント側の研究者と日本側の研究者双方が含まれており、それ故に議論の焦点はユーラシアを覆うようなネットワークに向けられることもあった。 2日目の最後に、山本氏、ウィリアム・ペティグルー教授(ケント大学)、アレッサンドロ・スタンツィアーニ教授(EHESS)によって、シンポジウムの議論のとりまとめが行われた。 ペティグルー教授は、グローバルヒストリーの将来について論じ、グローバルヒストリーがより有意義なものになるために必要なものを、自身が研究しているコーポレーションを事例として説明した。彼が示したものの一つはグローバルヒストリーを統合することであり、もう一つはポリティカル・エコノミー研究である。ペティグルー教授によれば、ポリティカル・エコノミー研究は優れたグローバルヒストリー像を描き出すとともに、グローバルという視点はポリティカル・エコノミー研究にも大いに貢献しうるからである。 スタンツィアーニ教授は、グローバルヒストリー研究に当たって、研究者がヨーロッパ中心主義から身を離すこと、理想的なモデルと歴史上の実践とを厳密に区別することの必要性を主張した。教授によれば、歴史家が分析のための道具として用いる「モデル」はしばしばヨーロッパ発祥の理論を基にしており、そのことは、歴史家がグローバルな視点から歴史を研究することを阻害するものになりうるとのことであった。ポリティカル・エコノミーにおいても、それは非常に多様なものであり、多様なポリティカル・エコノミーが重なり合うようにして世界を覆っているということを論じた。 山本氏は、このシンポジウムにおいて実践、戦略、そして経験という三つの分析概念が 強調されていたとまとめた。その上で、多様な史料を組み合わせて利用することでケース・スタディを再構築すること、そしてその再構築されたケース・スタディはミクロな視点に端を発しながらもより大きな歴史像を編むことが可能になると論じた。加えて、歴史家による協働とそれによるシナジーの重要性についても言及し、それこそが個々の歴史家の研究を統合し、グローバルヒストリーの構築に貢献すると述べた。 彼ら三名の提言は活発な議論を巻き起こし、フロアを含めて、いかにして中心主義を脱し、グローバルヒストリーの文脈から多様な研究を統合していくかについて意見の交換が行われた。