CIRJE Conferences 2006

University of Tokyo-London School of Economics Conference on Economic History

  • オーガナイザー:
    London School of Economics
    東京大学大学院経済学研究科
  • 2006年12月18日
  • 東京大学大学院経済学研究科大会議室
  • Conference Program

東京大学とLSEの研究者の間で、経済史に関する研究交流のため、毎年コンファレンスを東京とロンドンで交互に開催することに合意しており、本年12月18日に第1回のコンファレンスが東京大学で開催された。今回は、人的資本の形成と管理の歴史に関する4本の論文が発表された。LSE側からは、Stephan Epstein教授が13世紀以降にヨーロッパで形成された発明と技術伝達のシステムについて、Patrick Wallis 教授が同じく近代初期のヨーロッパにおける徒弟制の人的資本形成における役割に関する論文を発表した。東大側からは、森建資教授が第二次世界大戦後の八幡製鉄における人的資本管理に関する論文、中村尚史教授が戦前の日本鉄道における組織・人事制度改革に関する論文を発表した。テーマが統一されていたために議論は活発であり、日本、イギリスそれぞれの視点から有意味な比較史的コメントが提起された。

University of Tokyo COE-CIRJE Conference "Markets and Organizations in Ecnomic Developlement"

  • オーガナイザー:
    東京大学大学院経済学研究科
  • 2006年12月14日
  • 東京大学大学院経済学研究科大会議室
  • Conference Program

COEプログラム「市場と非市場機構との連関研究拠点」の一環として、当プログラムの 成果を報告すべく、12月14日に国際カンファレンス"Markets and Organizations in Economic Development"が開催された。以下の通り、報告者5名はすべてCOE拠点推 進メンバーであり、国内外から招聘した研究者を討論者として活発な議論が行われた。 (1)神谷和也"A Dynamic General Equilibrium Model with Centralized Auction Markets"; 討論者は工藤教孝、(2)Joe Chen "The 'Dark' Side of the Market: Endogenous Cartel Formation and Cartel Pricing"; 討論者は保田彩子、(3)大橋弘"Productivity, Capital Utilization, and Intra-Firm Diffusion: A Study of Steel Refining Furnaces,"討論者:中馬 宏之、(4) 澤田康幸"Risk-Sharing against and Earthquake: The Case of Yamakoshi Village,"; 討論者はMarcel Fafchmaps、(5) 岡崎哲二 "Micro-aspects of Monetary Policy: Lender of Last Resort and Selection of Banks" 討論者は星岳雄。

2006 Three-Country Conference "Corporate Governance in East Asia"

  • オーガナイザー:
    東京大学大学院経済学研究科
    College of Business Administration, Seoul National University
    Guanghua School of Management, Peking University
  • 2006年11月17日
  • 東京大学大学院経済学研究科大会議室
  • Conference Program

<コンファレンス概要> 東京大学大学院経済学研究科附属日本経済国際共同研究センター(CIRJE)では、東京大学金融教育センター(CARF)、21世紀COEプログラム「市場経済と非市場機構との連関研究拠点」、および海外の研究者とも連携し、国際会議を定期的に開催している。中国・北京大学と韓国・ソウル国立大学との共催で毎年開催している国際コンファレンスの開催「日中韓3国コンファレンス」はその1つであり、2006年度は11月17日に東京大学大学院経済学研究科で開催された。(2004年は北京大学、2005年はソウル国立大学で開催)。 今回のテーマは「アジアのコーポレート・ガバナンス」であり、日本の研究者8名に加えて、北京大学から5名、ソウル国立大学から4名の研究者をお招きして、東アジア諸国の金融問題をコーポレート・ガバナンスを中心に理論的・実証的に分析する研究成果を報告し、関連テーマに関して討論していただいた。なぜ東アジア諸国で経済危機が発生したか、その再発を防止し、持続的な経済成長を実現するにはどうすればよいかなど、政策的に重要な課題を経済学の観点から活発な議論が展開され、コンファレンスは成功裏に終了した。アジアの研究者が、欧米の研究者とは異なるアジアの立場から研究発信をする必要性はますます高まっており、本コンファレンス・シリーズは来年度以降も場所を代えて行われる予定である。

University of Tokyo, University of Southern California Conference on Economic Dynamics in Honor of Edward Prescott

  • オーガナイザー:
    CARF, 金融教育研究センター
    CEMANO, "市場経済と非市場機構との連関研究拠点" (21世紀COEプログラム)
    CIRJE, 日本経済国際共同研究センター
    The Marshall School of Business, University of Southern California
  • 2006年11月2-3日
  • 東京大学大学院経済学研究科大会議室
  • Conference Program

<コンファレンス概要> コンファレンスの各論文は、Prescott 教授の現在および過去の研究の主要テーマをカバーしていた。
ファイナンス論の主要な経験的規則性の一つに、Equity Premium Puzzle(株式のプレミアムパズル)がある。これは長期国債の利回りに比べ株式の収益率が異常に大きいことをさすものだが、これを最初に注目したのがRajnish Mehra と Edward Prescottの1985年の論文であった。Goethe University/ University of PennsylvaniaのKrueger教授は、個々の経済主体に特殊な分散不能リスクが株式のプレミアムの大きさとは関係がない場合の条件を提示した。それを受けてPrescott教授は、なぜ経済理論上Equity Premium Puzzleが、もはやパズルではなくなったと考えるかを論じるプレゼンテーションを行った。
Finn Kydland と Edward C. Prescottは従来の研究で、ビジネスサイクルの新たな分析方法論を開発した。Julen Esteban-Pretel、 Edward Green、 Nobuhiro Kiyotaki、 Vincenzo Quadrini、Mark Wrightが発表した研究は、この方法論を用いて、ラテンアメリカ経済の労働市場のダイナミクス,技術ショックに対する事業所や企業レベルでの反応、住宅、マクロ経済活動など,多岐にわたる分析を行った。
Prescott 教授 の多くの研究の根底にあるテーマの一つに、技術ショックが経済活動の理解に不可欠な要因であるというものがある。Douglas Joinesと Ayse Imrohorogluが発表した研究では、日本と米国の貯蓄率を理解するうえで技術ショックが重要な要因であることが述べられた。しかし、Victor Rios-Rullが発表した研究では、技術ショックの重要性に関する従来の結論は、生産技術の定式化が異なれば変わりうることが示唆された。
最後にPrescott教授の研究では、一人当たりGDPの国際格差を理解する際には、税制による労働市場の歪みが強調されている。別の説明として、生産物市場の規制の相違のほうが重要であるというものもある。Richard Rogersonは、生産物市場の規制で所得の国際格差の大部分を説明しようとすると、家計による労働供給の賃金弾力性がかなり高くなければならないことを述べた。

Workshop on Global Stock Market History in the Twentieth Century

  • オーガナイザー:
    伊藤正直
    岡崎哲二
    Leslie Hannah
    和田一夫
  • 2006年7月25日
  • 東京大学大学院経済学研究科大会議室
  • ※ このワークショップは日本学術振興会科学研究費補助金「学術創成研究費」のサポートを受けて開催されました。
  • Conference Program

<コンファレンス概要> 本ワークショップでは証券取引市場の経済および歴史に関する世界的権威が各国から一同に会し、20世紀の証券市場の発展について論じた。シカゴ大学のHerrigal教授と、ダーラム大学のMichie教授がワークショップの導入として論文発表を行い、証券取引市場の発展におけるコーポレート・ガバナンスと政治的相互作用の問題を提起した。その後の発表では、二つの大きなテーマが浮上した。一つは、銀行を基盤とする制度と証券取引所を基盤とする制度という、これまでの研究文献にありがちな二分法は役に立たないというものである。銀行と証券取引所は、非金融系企業のファイナンスを補完している制度であるだけでなく、競合する制度でもある。たとえば、伝統的にファイナンスを銀行にもっぱら依存した国と考えられているドイツで、強大な証券取引所が歴史的に発展したのは、銀行が大きな役割を果たしたからなのである。また、日本でも、証券取引所に大幅に依存した時期が何回かあったのである。もう一つのテーマは、過去を特徴づける際に、歴史的な後知恵にあまりに頼り切ったため、重要な歴史的断絶が見落とされたという点である。たとえば、サンクトペテルスブルグとブリュッセル、ヨハネスブルグの証券取引所は、1900年における取引所での上場株式の時価総額などの指標によれば大いに発展していたのである。それに対し、当時のニューヨークの証券市場はアメリカ経済の規模を考えれば驚くほど小規模だったのである。(ブリュッセル市場の分析はアントワープ大学のHans Willems教授、サンクトペテルスブルグの分析はモスクワ国立大学のBorodkin 教授により行なわれた。) 投資の質をいかに保証するかの問題に関しては、パリ社会科学高等研究院 (EHESS) のPatrick Fridensonが、19世紀後半以降にフランスのクレディ・ リヨネが実施した最先端の証券調査について述べた。一方、東京大学のLeslie Hannahはモルガンの取締役が役員として入っている米国企業はそれ以外の米国企業や英国企業よりも業績がいいとするDe Long教授の 証明に疑問を投げかけた。ミュンスター大学のCarsten Burhop教授は、第一次世界大戦前の規制の行き届いたベルリン市場においてドイツの銀行各行が新規株式公開に果たした役割を提示し、第一次世界大戦後のフランクフルトで新規株式公開が遅れた状況との比較を行った。ニュージーランド、ウェリントン大学のLyndon Moore教授 は、第一次世界大戦後の世界証券市場統合に至るまでの混乱は、ドイツと旧オーストリア・ハンガリー帝国で特に顕著であったことに言及した。ただ、この影響はやや誇張されており、戦争による証券取引所を通じたファイナンスが弱体化したのではなく発展が遅れたことが他の論文からも示されることになった。ウェストオブイングランド大学のPeter Wardley教授は、1912年時点での世界における大企業100社リスト作成し、大企業の上場では英国と米国がリードし、フランスがやや遅れてその後に続き、ドイツは遅れを取っていたことが示された。この図式は時折言われる内容とは異なっている。それは、Chandler 教授が産業企業の国別の差異を誤って論じたことにもよるし、また第一次世界大戦以前はサービス企業(特に銀行、鉄道)が大企業リストの多数を占めていたためでもある。 参加者により将来の共同研究に関する多数の有益な共同討議が展開された。

The third joint conference of Seoul National University and University of Tokyo

  • オーガナイザー:
    ソウル大学経済研究所
    日本経済国際共同研究センター
  • 2006年5月23日
  • ソウル大学(Seoul National University)

<コンファレンス概要> 2006年5月23日、ソウル大学(Seoul National University)で、第3回ソウル大学・東京大学経済政策コンファレンスが行われた。今回は、"Health、Information, and Migration," (Chulhee Lee、 ソウル大学)、"On Consumption Insurance Effects of Long-term Care Insurance in Japan: Evidence from Micro Household Data," (岩本康志、東京大学)、"An Economic Analysis of KFTC's Foreclosure Claims in Instant Messengers," (Sang-Seoung Yi、 ソウル大学)、"Effects of Transparency in Procurement Practices on Bidding Behavior: A Case Study of Experience of Municipal Public Works," (Hiroshi Ohashi、東京大学)の4本の論文が発表され、岡崎哲二(東京大学)、(Dae Il Kim、ソウル大学)、Yun Jeong Choi (東京大学)、Sangin Park (ソウル大学)の4名がディスカッサントとして参加した。