CIRJE Conferences 2019

The 28th NBER-TCER-CEPR Conference on "Financial System"

2019年7月27日
オーガナイザー: 福田慎一(東京大学)
東京大学大学院経済学研究科学術交流棟(小島ホール)・小島コンファレンスルーム

-Program-

日本経済国際共同研究センター(CIRJE)は毎年、米国NBER、欧州CEPR、および東京経済研究センター (TCER)が共催する形で、米国および欧州における著名な経済学研究者を毎年東京に招いて現代社会のホットイシューを報告・討論するコンファレンスを開催している。本年度は、東京大学金融教育研究センター(CARF)および日本政策投資銀行のサポートを受けて,2019年7月27日(土)に東京大学小島コンファレンスルームで、全米経済研究所(NBER)、東京経済研究センター (TCER)、および欧州経済政策研究センター(CEPR)と共同で行う年次国際学術会議“28th NBER-TCER-CEPR conference (TRIO conference)”を開催した。今回のテーマは、「金融システム“Financial System”」で、世界的に広がりつつある金融を巡る新しい流れが金融システムに与える影響およびそれに関連した諸問題を議論した。 金融システムの安定は、金融経済活動を円滑に行う上で欠くべからざるものである。しかし、今日、グローバル化が進展する世界経済では、新たな金融革新が各国でさまざまな形で生まれ、その金融経済活動に与える影響に関して光と影が指摘されるようになっている。2008年の世界金融危機やその後の欧州危機は、その影の部分が顕在化した例であり、それに対応して行われた非伝統的金融政策も金融システムが脆弱な新興国などで新たな危機の火種を生み出した。 経済学では伝統的に、自由な取引が経済効率を高めるという観点から、金融市場の自由化を支持する研究が主流を占めてきた。しかし、自由な金融取引はしばしば資産価格の乱高下を生み出し、バブル発生の一因となるなど、金融市場に複雑な問題を引き起こすことも少なくなかった。このため、さまざまな市場の失敗が存在するなかで、自由な金融取引はグローバル化した世界経済の効率性を必ずしも高めるとは限らないという認識が近年学界でも広がりつつある。バーゼルIIIなど新たな金融規制の導入は、そのような学界での新しい流れを反映したものともいえる。加えて、近年、金融のさまざまな分野でフィンテックに代表される新しい技術革新が急速な勢いで生まれており、そうした新たな環境のなかで金融システムの安定をいかに維持していくかに関しても、重要なテーマが目白押しで、これまでとは異なる視点から学術的な議論が展開されることが期待される。このため、日米欧の経済学者がそれぞれの視点から、金融を巡る新しい流れが金融システムに与える影響およびそれに関連した諸問題を議論することは、大変意義深いと考えられる。 コンファレンスには、トップクラスの研究者に加えて、日本国内の若手研究者にも参加してもらい、学術的・実務的観点から最近の金融のホットイシューを理論的・実証的に議論を深めることで、日本の金融研究のレベルアップにつながった。また、金融を巡る新しい流れが金融システムに与える影響を議論することは、研究者だけでなく、政策担当者や実務家にとっても重要と考えられるため、コンファレンスの案内を、大学関係者だけでなく、政策当局者や実務家の方々に対してもCARFを通じて送り、議論に参加していただいた。学術的・実務的観点から最近の金融システムのホットイシューを理論的・実証的に議論が深められた。なお、報告論文は、レフェリーによる審査を経て、国際学術誌Journal of the Japanese and International Economies (JJIE)に刊行予定である。

 

Asia Pacific Trade Seminars 2019

2019年6月29-30日
オーガナイザー: 古澤泰治(東京大学)
東京大学大学院経済学研究科学術交流棟・経済学研究科棟 第1教室

Asia Pacific Trade Seminars (APTS)は、国際貿易・投資を専門とする研究者のフォーラムであり、アジア・パシフィック地域の大学を回りながら年1度のコンファレンスを開催してる。今年は、6月29日―30日に、東京大学にて、第15回目となるAPTSコンファンレンスが開催された。投稿された論文から厳選された51本の研究発表が、2日間に渡り行われた。それに加え、Samuel Kortum (Yale University)とAlan Woodland (UNSW)による基調講演が行われた。 いずれの論文も質が高く、またディスカッションも活発に行われ、カバーされたトピックも多岐に渡った。コンファレンスは、世界中から80名の参加者を得て、盛大に行われたが、参加者は、自らの発表や、他の参加者の発表、そして参加者同士の交流を満喫した。CIRJEによる資金面や人的サポートのおかげで、無事2日間の日程を終えることができた。

 




International Workshop "Frontiers in Urban Economics and Trade"

2019年6月4日
オーガナイザー: 田渕隆俊(東京大学)
RIETI国際セミナー室(経済産業省別館11階)

海外からトップレベルの研究者を以下の4名招聘し、空間経済学に関する最新の研究成果を以下のように報告してもらい、内外から集まった40名の研究者と多角的な議論を行った。報告内容は、企業密度の弾力性の計量経済分析、世界の市場ポテンシャル分析、高速道路建設が及ぼす経済集積の分析、空間相互作用の理論と実証分析である。 Gabriel Ahlfeldt, LSE The Effective Density Elasticity of Productivity for Movers and Stayers Klaus Desmet, Southern Methodist University The Shrinking Advantage of Market Potential Frederic Robert-Nicoud, Université de Genève Highways, Market Access, and Spatial Sorting Yves Zenou, Monash University Spatial Interactions