CIRJE-R-8: 国友直人・川崎能典 共編 『ファイナンス計量分析の新展開2010』 2010年4月. *in Japanese


 

この研究報告書は2009 年度に開催した研究会「ファイナンス計量分析の新展開と日本の金融市場」での特別講義、研究報告・議論などの一部分をまとめたものである。2010 年3 月29 日-30 日に開催した同研究会では、関係者の熱心な協力もあり、特にこれまであまり日本語では利用可能 でない金融分野における統計的手法の様々な側面について議論された。西山陽一氏(統計数理研 究所)による「点過程における統計分析の基礎」に関する特別講義、が計画されたが、研究集会 では計量ファイナンス分野において発展がめざましい「信用リスクの理論と応用」、「高頻度金融 データの理論と応用」などを特に重視した。これらの話題は直接に研究会に参加した関係者以外 の研究者、大学院生、業界関係者にとっても有用な情報を含んだものである、と研究会幹事であっ た国友直人(東京大学経済学研究科)及び川崎能典(統計数理研究所)は判断したので記録にと どめることとした。この報告書に収録した内容は、これまで様々な応用の場所で断片的にしか利 用可能でなかった確率論、統計学的議論が多く含まれているが、近年ではいずれの話題も計量ファ イナンスなどと呼ばれている、金融に係わる統計的リスク管理の分野で重要な役割を演じること が多い。 統計学・統計科学分野の関係者、金融分野において実際に応用されている確率論的方法や統計的 方法の理解と発展に関心がある研究者、大学院生、業界の研究開発に携わる実務家にとって、こ こに収録された内容が貴重な資料として勉学の参考になれば幸いである。この報告書が特に今後 の研究の一助となることを期待したい。