CIRJE-R-7: 国友直人編 『保険と金融の統計学II』 2008年3月. *in Japanese


 

この研究報告書は2007年度に開催した研究会「保険と金融の統計学」での特別講義、研究報告などの一部分をまとめたものである。2007年度に開催した同研究会では、関係者の熱心な協力もあり、特にこれまであまりまとまった形で日本語では利用可能でない保険分野や金融分野に関係する統計学・確率論からのリスク分析が扱われている。今年度の報告内容としては、日本の損害保険データの分析に関する増田・国友による報告論文「Lasso分位点回帰の理論と損害保険への応用」、渋谷政昭氏(慶応大学理工学部名誉教授)による講義録「極値理論とその応用」、西山陽一氏(統計数理研究所)による講義録「マルチンゲール理論の基礎」、Guus Balkema氏(Amsterdam大学名誉教授)による講義録「High Risk Scenarios and Exteremes」、が具体的内容である。これらの話題は研究会に参加・聴講した関係者以外の研究者、大学院生、業界関係者にとっても有用な情報を含んだものである、と判断した。本報告書に収録した内容は、これまで様々な応用の場所で断片的にしかも利用可能でなかった確率論、統計学的議論が多く含まれているが、近年ではいずれの話題も数理保険学や数理ファイナンス・計量ファイナンスなどと呼ばれており、金融に係わる統計的リスク管理の分野で重要な役割を演じることが多くなっている。

保険分野や金融分野において実際に利用されている確率論的方法や統計的方法の理解と発展に関心がある研究者、大学院生、業界の研究開発に携わる実務家にとって、ここに収録された内容が貴重な資料として勉学の参考になれば幸いである。この報告書が特に今後の研究の一助となることを期待したい。