CIRJE-R-6: 国友直人・川崎能典共編 『保険と金融の統計学』 2007年3月. *in Japanese


 

この研究報告書は2006年度に開催した研究会「保険と金融の統計学」での特別講義、研究報告、議論などの一部をまとめたものである。2006年度に開催した同研究会では関係者の熱心な協力もあり、特にこれまであまり日本語では利用可能でなかった保険分野や金融分野における統計的手法の基礎的内容が扱われていた。例えば、志村隆影氏(統計数理研究所)による「正則変動関数の理論」に関する特別講義、西山陽一氏(統計数理研究所)による「確率過程の統計学」に関する特別講義、その他、このところ発展がめざましい統計的極値論の理論と応用、数理保険の理論と応用などが具体的内容である。これらの話題は直接に研究会に参加した関係者以外の研究者、大学院生、業界関係者にとっても有利な情報を含んだものである、と研究会幹事であった国友直人(東京大学経済学研究科)及び川崎能典(統計数理研究所)は判断している。本報告書に収録した内容は、これまで様々な応用の場所で断片的にしか利用可能でなかった確率論、統計学的議論が多く含まれているが、近年ではいずれの話題も数理保険学や数理ファイナンス・計量ファイナンスなどと呼ばれている、金融に関わる統計的リスク管理の分野で重要な役割を演じることが多くなっている。  保険分野や金融分野において実際に利用されている確率論的方法や統計的方法の理解と発展に関心がある研究者、大学院生、業界の研究開発に携わる実務家にとって、ここに収録された内容が貴重な資料として勉学の参考になれば幸いである。この報告書が特に今後の研究の一助となることを期待したい。