CIRJE-R-5: 国友直人編 『季節調整法X-12-ARIMAと日本の官庁統計』 2006年1月. *in Japanese


この報告書は米国センサス局(U.S.Census Breau)で開発された季節調整プログラムX-12-ARIMAを、日本の主要な官庁である財務省において実際に利用する際に生じた問題を検討した際に作成したリポートを中心に、関連する論功と資料をまとめたものである。
 センサス局時系列研究スタッフにより開発された季節調整法X-12-ARIMAには統計的時系列解析をはじめ数理統計的手法が多く取り入れられているので、統計学をはじめ統計的時系列分析の研究分野についての専門的予備知識が欠けている場合にはその利用は必ずしも容易でない。季節調整法としてのX-12-ARIMA方の妥当性の評価についてはなお様々な意見があり得るが、官庁統計家等実務関係者にとりまずはその理解と適切な利用に資することが必要と判断してこの報告書としてまとめることとした。また、経済統計の理論と実際の問題に関心がある研究者や大学院生にとっては、一つの体験談として参考になると思われる。特に今後、官庁統計における季節調整について改善の方向に資することができれば幸いである。
なお、財務省に置いて官庁統計を実際に扱っている担当者との議論を通じて、様々なことを学ぶ機会にも恵まれたが、そうした経験を背景として二つの学術論文を書くことができたので、それらの論考と資料も同時にこの報告書に収録した。また、報告書の中でしばしば時系列成分分解プログラムDECOMPに言及したので、Web-DECOMPの開発者による解説も併せて収録した。