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CIRJE-R-21
   『経済統計・政府統計の理論と応用2016』

    "Theory and Applications of Economic and Government Statistics 2016"

Author Name
   山本拓・国友直人・川崎能典 共編  (Taku Yamamoto, Naoto Kunitomo and Yoshinori Kawasaki ed.)
Language
   Japanese
Date
   February 2016
Abstract
 

 

本報告書は、日本学術振興会・科学研究プロジェクト「経済統計・政府統計の理論と応用から の提言」(2015 年度- 2018 年度、研究代表者:山本 拓)が、2015 年1 月29 日(金) に東京大学 小島ホールにおいて開催した2015 年度の研究集会における講演内容をまとめたものである。なお 本研究集会のオーガナイザーは、川崎能典、国友直人、山本拓が務めた。  

本プロジェクトの目的は、経済統計・政府統計における主要な課題の、技術的および制度的 問題を、統計学的な立場から理論的・学術的に検討し、具体的解決策を提言することである。経 済統計、とりわけ政府統計は、経済・社会の動向を理解し、政策を実施、評価するためには不可欠 な情報であることは言うまでもない。最近はevidence-based policy ということもよく言われ、政 府統計の重要性は一般に広く認識されつつあると思われる。しかし、経済統計・政府統計への信 頼性は、近年必ずしも増しているとは言えない状況である。経済社会の急激な変化に伴い、政府 統計の質の確保が困難になりつつある。マクロ経済統計の側面では、GDP 統計などに代表される マクロ公表系列の質と信頼性の問題、信頼性の高い将来人口の推計の問題、地域による経済情勢 のばらつきの把握などの問題を挙げることができる。またミクロ経済データにおいては、統計調 査をとりまくプライバシー意識の高まりから、調査精度の確保が難しくなりつつあるという問題 や、情報開示と秘密保持の両立という匿名化問題などを挙げることができる。新しい統計学的知 見の導入に関しては、日本の政府統計部局が分散化されているために、これまでは、個別の担当 部局あるいはその時々の担当者に個別に招かれた研究者によって知見や助言が提供されることが 多かった。政府統計を巡る重要な論点について、担当部局をまたいでその知見が共有されること は少なかったと思われる。またそれらの話題が広く研究者間で議論されることも少なかった。そ のような意味で、経済統計・政府統計の技術的・制度的問題点を、統計学的立場から総括的に検 討していくという本研究プロジェクトは、一つの新しい方向性を目指したものである。 本プロジェクトの研究集会は、プロジェクトのメンバーと実際に経済統計・政府統計に作成者 または利用者として携わっている方々との積極的な交流を提供することをその重要な目的の一つ としている。今回は本プロジェクトの第1回目の研究集会ということで、メンバーが今後の研究 上の刺激を得ることを期待し、外部の方の報告が多くなるように構成した。

第1セッションでは、政府統計・経済統計を巡る最近の重要な問題が扱われた。すなわち、政 府統計の役割として重要な位置をしめる2次利用の現状と課題、長期的な地方創生に関して、重 要な要因となる府県別の人口変動の予測、さらにマクロデータとミクロデータの融合の方法につ いての新しい試み、が報告された。第2セッションでは、政府統計・経済統計に関わるかねてか らの問題に対する理論的と応用からの接近である。すなわち、匿名データの開示リスクの評価の 考え方と応用例、ならびに新しい季節調整法X13 の特徴の解明とその評価である。第3セッショ ンは、近年のその重要性が際だってきた小地域統計の問題に的を絞ったものである。さまざまな 具体的な応用をふまえた理論的問題が明らかにされ、それらについての新しい理論的接近法が提 案され、その応用可能性が報告された。

このような研究集会が情報交換ならびに刺激となり、経済統計・政府統計の今後の改善の一助 になることを期待する次第である。

  

This report is a summary of the unpublished talks and papers presented at the first conference held in 2015 January 29 under the title : "Theory and Applications of Economic Statistics and Government Statistics". The topics are on (i) the recent issues of official statistics, (ii) the statistical problems in official statistics, and (iii) "Small Area Statistics" and its Applications. The papers presented at the first conference have been written in Japanese or English.

 

 
Remarks

  

 

  
PDF

 

PDF file (all) (13.56MB)

 

PDF file 1 (~p.4) (170.56KB)

PDF file 2 (pp.5~72) (9.37MB)

PDF file 3 (pp73.~97) (256.46KB)

PDF file 4 (pp.98~154) (4.13MB)