back (Japanese)  back (English)

CIRJE-R-10
    『経済統計・政府統計の数理的基礎と応用-I』

    "Statistical Foundations of Economic and Government Statistics and Applications-I"

Author Name
   国友直人・山本拓 共編 (Naoto Kunitomo and Taku Yamamoto ed.)
Language
   Japanese
Date
   February 2012
Abstract
 
 

 この報告書は 日本学術振興会・科学研究プロジェクト 「経済統計・政府統計の数理的基礎とその応用」 が東京大学経済学研究科において 2011年9月に開催した研究集会における講演内容をまとめたものである。

経済統計、とりわけ政府統計は、経済・社会の動向を理解し、政策を実施、評価 するためには不可欠な情報であることは言うまでもない。最近はevidence-based policyということもよく言われ、政府統計の重要性は一般に広く認識されつつあ ると思われる。

しかし、経済統計・政府統計への信頼性は、近年必ずしも増しているとは言えな い状況である。経済社会の急激な変化に伴い、政府統計の質の確保が困難になり つつある。マクロ経済統計の側面では、GDP統計などに代表されるマクロ公表系 列の質と信頼性の問題、信頼性の高い将来人口の推計の問題、地域による経済情 勢のばらつきの把握などの問題を挙げることができる。またミクロ経済データに おいては、統計調査をとりまくプライバシー意識の高まりから、調査精度の確保 が難しくなりつつあるという問題や、情報開示と秘密保持の両立という匿名化問 題などを挙げることができる。  

これらの困難さの根本的原因の一つは、先に述べた政府統計の重要性の認識と は裏腹に、財政難から政府統計関連の予算が長期的な漸減傾向にあり、政府統計 部局には残念ながら上記のような問題に対処するための十分な人的・財政的資源 が確保されていないことにある。中・長期的視野に立ち、理論的あるいは学術的 基盤まで考慮した新たな確固たる統計的方法を検討するには、余力に乏しい状態 なのである。また政府部局の人材採用・育成メカニズム自体も基本的に旧来通り 制約的であり、例えば大学院修了者を自由に雇用することはできず、日本政府の 統計部局の人的構成は大学院修了者を多量に抱える欧米先進国や新興国とは異な る状況となっている。

新しい統計学的知見の導入に関しては、日本の政府統計部局が分散化されている ために、これまでは、個別の担当部局あるいはその時々の担当者に個別に招かれ た研究者によって知見や助言が提供されることが多かった。政府統計を巡る重要 な論点について、担当部局をまたいでその知見が共有されることは少なかったと 思われる。またそれらの話題が広く研究者間で議論されることも少なかった。そのような意味で、経済統計・政府統計の技術的・制度的問題点を、統計学的立場 から総括的に検討していくという本研究プロジェクトは、一つの新しい方向性を 示している。

また一般の統計学研究者と統計職員がオープンかつ総括的に問題を検討していく という機会は、これまであまり存在しなかったと思われる。(日本統計学会にお いて政府統計のセッションが設けられたことは多々あると記憶するが、日本統計 学会に所属している政府統計職員は限られているのが実情である。)2011年9月に 開催した研究集会は、統計学研究者と統計調査担当者がおよそ半々の割合で、さ まざまなトピックについて報告を行う構成になっている。このような機会が情報 交換ならびにお互いの刺激となり、経済統計・政府統計の今後の改善の一助にな ることを期待する次第である。 なお以下の目次ではコンファレンスのプログラムのタイトルを 表示したので、一部には実際に研究報告した論文のタイトルとは異なることに 注意されたい。

  

This report is a summary of the unpublished papers presented at the conference held at CIRJE in 2011 September 12 under the title: "Statistical Foundations of Economic Statistics and Government Statistics, and Their Applications". The topics are on (i) the statistical foundations of micro-data and panel data, (ii) the statistical problems in Japanese governments, and (iii) the statistical foundations of macro-time series data. The papers presented at the conference have been written in Japanese.
 
Remarks

  

  
PDF
    

PDF file (all) (9.71MB)

 

PDF file 1  (  ~目次) (24.0KB)

PDF file 2 (pp. 3~68) (2.50MB)

PDF file 3 (pp. 69~97) (3.31MB)

PDF file 4 (pp. 98~  ) (3.65MB)